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1-3. "マイクロコズム"から"テレコズム"へ
マイクロコズム時代、「トランジスタを浪費せよ」の命題を忠実に実行し、多機能低コストのPCの豊富性を見抜きPCOSを支配した人物こそ、Bill Gatesである。シリコン、トランジスタが希少性であった前時代には、Sun, Cisco, IBMなどの大型コンピュータが企業、国家向けに高額で提供されているに過ぎなかった。しかしながら、ムーアの法則に代表されるように、急速な技術発展とシリコン価格の下落により、一般家庭にまでコンピュータが普及することが可能となったのであり、それを実行した覇者こそがマイクロソフトであった。 

[ムーアの法則 Moore's Law]

"Moore's law describes a long-term trend in the history of computing hardware. Since the invention of the integrated circuit in 1958, the number of transistors that can be placed inexpensively on an integrated circuit has increased exponentially, doubling approximately every two years. The trend was first observed by Intel co-founder Gordon E. Moore in a 1965 paper. It has continued for almost half of a century and is not expected to stop for another decade at least and perhaps much longer.( Wikipedia )

 "マイクロコズムの豊富性は、トランジスタ、パワー、そしてシリコンの面積であった。 -そして時代は下り、トランジスタの氾濫とトランジスタが生成、送信するビットの膨大な流れは、通信容量と技術労働力の不足を招いた。音声通信には十分広大だった既存電話網の帯域は、数メガビット/秒のスピードでデータを生成するコンピュータが全世界にあふれかえると突如として気象になった。ある時代を規定する豊富性は、次の時代を規定する希少性を生むのである。

(テレコズム P.13)"

 "単にマイクロコズムがテレコズムに席を譲るのではない。マイクロコズムはテレコズムにとって不可欠な土台なのである。(テレコズム P.80)" 

 マイクロコズム時代の希少性―「帯域」―を豊富性としたのは、光ファイバーに牽引された世界の一体化であった。このことは「The World is Flat , Thomas Friedman」にも紹介されている。そして光ファイバーを世界中に行渡らせた現象が、2000年のドットコムバブルであり、IT産業への過剰投資により十分な量の「帯域」が設備され豊富性となったのである。

 

 テレコズム時代、豊富性は帯域であり、ブロードバンドにより幾何級数的に増加する情報量である。一方で、希少性は「時間」であり、顧客の時間こそがモノの価値を測る尺度となる。 

" 時間は全く新しいコンセプトである。物質が希少だった数千年の間、顧客の時間は空気や水と同様、経済学者がいうところの外部性であった。 

 何事も豊富な時代にあっては、寿命―すなわち時間―が究極の希少性となり、政府の政策、企業、モノの価値を測る基準となるのである。"(テレコズム P.373) 

 テレコズム時代の社会変革として著者は「TV広告の崩壊、顧客に応じた広告の登場」を挙げている。TV広告ほぼ顧客の時間を「浪費」するものはない、と厳しく糾弾した上で、それはマイクロコズム以前のビジネスモデルであり、時間が希少性となるテレコズム時代には適合しないという。つまり、テレコズム時代においては、ターゲット広告が重視され、一定程度の知識、興味を持つ顧客相手の広告は以下の変化をする。

a. パーソナライズされたニュースの付属品として情報価値を高めるものとなる。

b. つまらない仕掛けで顧客の時間を浪費するものでなくなる。 

 これは、次章で再度言及するが、GoogleのビジネスモデルAdwords,Adsenceが「検索連動型」、「3行文字広告」によりテレコズム時代の覇権を握ることを予言していた、という見方もできるのではないだろうか。